CP速報
2025年5月CP:610ドルで前月比5ドル下落
4月29日に5月のアラムコCPが発表されました。4月比5ドル安の610ドル。4月のMB平均値は、3月から6ドル安の444ドルでした。


米中の貿易戦争のあおりで原油下落も、CPは僅かな値下がりに留まった理由とは?
【原油市況】
4月は、米中の貿易戦争の影響で激しく上下するも下落基調
米国と中国の貿易戦争がまだ落ち着きません。結果として、世界的な景気停滞が懸念されています。
また、OPECプラスは5月3日に、6月からの増産計画を発表しました。OPECプラスとは産油国8カ国から成る、サウジアラビア、UAE、クウェート、イラク、カザフスタン、オマーン、アルジェリアそしてロシアです。
OPECプラスは、自主的に2023年11月以降、日量で220万バレルの減産を実施。ただ、今年の4月からは減産幅を見直しました。いわば増産することにしたのです。4〜6月で増産量は96万バレルになり、当初の220万バレルの44%が復活したことになります。
WTI原油先物価格は、今年の1月は80ドルを付けたものの、OPECプラスの増産に伴い、4月は60ドル台まで急落。5月18日現在は、62ドル付近で推移しています。
【LPガス市況】
報復関税合戦の影響で中国がLPガスの輸入先を変更か?
従来中国は、プロパンガスの総輸入量の約半分を米国に依存していました。
しかし、米国から輸入すると高関税により非常に高くつくので、5月中旬以降は、米国産プロパンガスから中東産に変更するようです。原油は下落したのに、中東産プロパンガスのCP価格が僅かな下落にしかなっていないというのは、このことが原因と思われます。
さらに、サウジアラビアもプロパンガスの輸出を減らし、その分を国内の石化需要に振り向けていると見られ、これもCPの下支えに繋がっている模様。
【米国MB市況】
4月のMB(モントベルビュー)平均値は、3月の450ドルから6ドル下げて444ドルでした。
今冬の米国は非常に気温が低かったことと、輸出が記録的な高水準で推移したことが相まって、プロパンガス在庫が減少した。ただ、原油が下落したため上旬には365ドルまで下落。その後、天然ガス市況が上昇すると、釣られて500ドル付近まで上がり、平均では444ドルとなった。
プロパンガスの料金はCPとMBに連動します
従来は、プロパンガスの料金はCPに100%連動していましたが、2017年からはCPに加えてMBに連動するようになりました。2019年4月現在のそれぞれの比率は、概ねCPが70%でMBが30%です。
ただし、この比率は元売り会社(プロパンガスを海外からタンカーなどで輸入し、卸業者に販売する会社。アストモスエネルギー、エネオス、ジクシスなどがある)の方針で若干異なります。
CPとは
CP(Contract Price)とは、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ社が決める通告価格です。CP(≒FOB)は輸出国の港で渡される価格で、$/t(トンあたりのドル建て)という単位で取引されています。CPには日本までのタンカー運賃と保険料などは含まれていません。
MBとは
MB(Mont Bellevue)とは、米国テキサス州モントベルビュー市にあるプロパンガス基地における取引価格です。
米国全土で生産されたプロパンガスの原料はモントベルビューに集められて精製されるので、モントベルビューでの取引価格が世界三大指標の一つになっています。CPは月単位での価格ですが、MBは毎日取引されているので前月の平均値が確定値として利用されています。
この記事の執筆者

一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。

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