CP速報
2024年3月CPは630ドルで2月と同額
2月29日に3月のサウジアラムコCPが発表されました。2月の630ドルと同額の630ドル。2月のMB平均値は、1月の426ドルから46ドル上げて472ドルでした。
暖冬で需要減少も原油高の影響で3月CPは2月と同額
イスラエルとハマスの戦闘の継続やフーシ派による商船攻撃で供給混乱懸念
暖冬の需要減少によるCPの下落を、原油高が打ち消してしまった状態です。
原油高の要因は、イスラエルとハマスの戦闘継続が大きく影響しています。仲裁を試みているカタールやエジプトの努力も空しく、両者の主張の溝が深いために停戦合意に達していません。
一番大きな溝は、完全な戦闘終結をどのように実現させるかという方法論にあるようです。まずは、人道的停戦をスタートさせ、その後双方の人質をどう解放させるかなどがテーマとして考えられます。
もう一つの原油高を招いている要因は、フーシ派が紅海を航行する商船に対して攻撃をしていることです。なぜ親イラン勢力のフーシ派は攻撃するのでしょうか?
フーシ派は、イスラエル軍がガザの兄弟たち(ハマスのこと)に対する攻撃を止めるまで、紅海でイスラエル船が航行するのを阻止すると言っています。
前述のイスラエルとハマスの停戦合意が実現すれば、フーシ派による攻撃も収束するのではないかと期待しています。
今後のCPの見通し
結論としては、今後CPは下がると思います。理由は下記の3点です。
❶中東の産ガス国であるサウジアラビアやクェート、アブダビなどのプロパンガス輸出基地の点検・修理が3月中に終了すると思われるからです。そうなれば、当然輸出量が増えます。供給が増えて需要が増えなければ下落は期待できます。
❷中国・欧州はじめ世界的に景気減退予測がニュースになっています。特に中国の場合は、不動産不況や若者の失業率問題、経済の先行きを悲観しての消費マインドの低迷などが顕著です。
❸そして、何よりも需要期が終わります。
MBは製油所稼働率低下により46ドル上昇の472ドル
2月のMB平均値は、1月の426ドルから46ドル上げて472ドルでした。
米国市場は、1月の大寒波の影響で製油所稼働率が低下し、当然プロパンガスも影響を受けました。一方で暖房用のプロパンの需要が伸びたことと、プロパンの輸出が高水準だったことが重なり、米国内の在庫が大幅に減少。
2月の平均値は1月比46ドル上昇の472ドルとなり、16カ月ぶりの高値を記録しました。
プロパンガスの料金はCPとMBに連動します
従来は、プロパンガスの料金はCPに100%連動していましたが、2017年からはCPに加えてMBに連動するようになりました。2019年4月現在のそれぞれの比率は、概ねCPが70%でMBが30%です。
ただし、この比率は元売り会社(プロパンガスを海外からタンカーなどで輸入し、卸業者に販売する会社。アストモスエネルギー、エネオス、ジクシスなどがある)の方針で若干異なります。
CPとは
CP(Contract Price)とは、サウジアラビアの国営石油会社サウジアラムコ社が決める通告価格です。CP(≒FOB)は輸出国の港で渡される価格で、$/t(トンあたりのドル建て)という単位で取引されています。CPには日本までのタンカー運賃と保険料などは含まれていません。
MBとは
MB(Mont Bellevue)とは、米国テキサス州モントベルビュー市にあるプロパンガス基地における取引価格です。
米国全土で生産されたプロパンガスの原料はモントベルビューに集められて精製されるので、モントベルビューでの取引価格が世界三大指標の一つになっています。CPは月単位での価格ですが、MBは毎日取引されているので前月の平均値が確定値として利用されています。
この記事の執筆者
一般社団法人プロパンガス料金消費者協会
代表理事 鈴木 秀男
- 2010年10月 一般社団法人プロパンガス料金消費者協会を設立。代表理事に就任。
1980年広告代理店勤務を経て、東芝パソコンシステム(旧:ソード電算機システム)に入社。営業推進部部長として勤務する傍ら、1990年より世界最大の人材教育機関「デール・カーネギー・コース」のニューヨーク本部公認トレーナーとしてセールスパーソンの教育に20年間従事。官公庁や大手企業を中心に約3千人を指導。また、ヤフージャパンで4年間広報宣伝ディレクターを兼務した。
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