賃貸のアパートやマンションなど集合住宅への引っ越しとは違い、プロパンガス(LPガス)の戸建住宅へ引っ越しをする場合には、知らないと損をしてしまうことがあるってご存知ですか。
戸建住宅といっても『新築』『中古住宅の購入』『借家』と、タイプ別にガス会社との契約タイミングが異なります。
LPガスの住居に引っ越す際は、どんなことに気を付ければよいのでしょうか?注意点をまとめました。
新居でプロパンガス(LPガス)を利用することになった場合、それまで都市ガス、オール電化を使っていた方にとっては、LPガスについて知らないことばかり・・・不安もあることでしょう。
ここで少し、LPガスについて説明します。
LPガスは、英語の『Liquefied Petroleum Gas』の略で「液化石油ガス」を意味します。常温で圧縮すると液化しやすいブタンやプロパンを主成分としたガス燃料で、俗語として『プロパンガス』とも呼ばれています。
利用方法は、ガス容器(ボンベ)を建物外壁に設置し、そこからガス配管を通して浴室やキッチンなどの利用個所までガスを送ります。一般家庭には、月に1回程度ガス会社が来て、ガスボンベの交換を行う仕組みです。
ガスボンベは2本で1セットになっており、常に1本は予備として設置されているので、万一地震などの自然災害時でも復旧が早いので安心です。
注意しなければならないのは、LPガスは販売店によってガス料金に差があることです。
プロパンガスは自由料金ゆえに、適正価格に法的な基準やガイドラインがなく、ガス販売店の裁量に任されているからです。また、輸入商品のため原油価格、為替に影響されやすいことから頻繁に値上げが行われます ※「プロパンガスの値上げは無責任」参照。
勝手な値上げが横行する業界ですから、いかに信頼できるガス販売店を選定できるかが損をしない秘訣といえます。
ガスは電気や水道と違って、自分で閉栓・開栓することができません。退去の際は立会いが不要の場合もありますが、開栓する際は必ず立会いが必要です。引っ越す前後には必ずガス会社に連絡をしましょう。
閉栓当日の立会いは基本的には必要ありません。プロパンガス会社の係員が閉栓作業を行います。ただし、建物がオートロックであると立会いが必要になることもあるので確認しておきましょう。
閉栓手続きの流れは次の通りです。
閉栓時点での利用状況に基づき、月額のガス料金を日割りで計算し最後の料金が確定します。ガス会社によって最終手続きが若干異なる場合があるので事前に確認しておくとよいでしょう。
LPガスの使用を開始するときは、ガス会社の担当者が開栓作業をする際に立会いが必要です。引越しの繁忙期(3~4月)は、ガス会社の予約がとりにくくなる可能性があります。なるべく早めに連絡しましょう。
開栓手続きの流れは次の通りです。
開栓当日は、給湯器、ガスコンロ、ファンヒーターなどのガス機器が安全に使えるか、点火確認を行います。作業全体は約30~40分程度で完了します。
賃貸住宅の場合、ガス会社によっては保証金1万円(退去時に返金となるものです)が必要な場合がありますので、預かり証などは必ず保管しておきましょう。
「LPガス会社はどこも同じ」と考えるのは大きな間違いです。LPガスは自由料金制ですから、ガス料金はプロパンガス会社によって異なります。さらに、ガス料金の不正なコントロールが横行しているのも事実です。いかに信頼できるガス会社を選ぶかが損をしない秘訣です。
契約のタイミングについては、新築(注文住宅、中古購入)、借家、集合住宅のタイプ別にさまざまです。
以下の注意点を踏まえて、正しくガス会社との契約手続きをおこないましょう。
新築戸建でも『注文住宅』と『建売住宅』の場合で、事情がかなり異なります。
注文住宅はオーダーメイドの家ですから、施主側で自由にLPガス会社を選ぶことができます。しかし、実際には、建設会社が取引先のガス会社を使って勝手にガス配管工事を進めてしまう場合が少なくありません。
そこで大事なのは「ガス会社の選定」のタイミングです。
基礎工事の段階には床下のガス配管工事がはじまるので、その前にLPガス会社を決めて施工会社に伝えておきましょう。
建売住宅は、業者の規格で建てられた建物を購入する形になるので、すでにLPガスの配管工事が完了し、給湯器などの設備も完備されています。したがって、一般的には指定のLPガス会社と契約することになります。
ここで注意してほしいのはガス配管工事費で、建築費用に含まれていないことがほとんどです。
建売住宅のガス配管工事費は平均すると21~23万円と割高です。一般的な規模の戸建住宅のガス配管工事費の適正相場は10万円前後ですから、いかに高いのかがわかります。
契約をする前に、指定のガス会社の「ガス配管工事費の見積書」を確認するといいでしょう。また、ガス料金(基本料金、従量単価)を確認することも重要です。毎月の従量単価にいくらのガス配管工事代が組み込まれているかなど説明を受けましょう。
納得がいかなければガス会社を変更することも可能ですが、その場合にはガス配管工事費を全額支払う必要があるのでよく検討してから決めることをお勧めします。
住宅を購入するにあたり、不動産仲介会社からガス配管工事費が建築費用には含まれていないという説明がないことも多いようです。その場合には、説明責任を果たしていない不動産仲介会社に働きかけ、ガス会社への値引き交渉を手伝うよう依頼するのもいいでしょう。
とはいえ、LPガスの事情や売買契約の知識がないまま交渉となると不安になるものです。ガス会社変更の専門家に相談することをお勧めします。
まず確認してほしいのは、引っ越し先の建物にガス会社所有のガス容器(ボンベ)やメーターが残されているかどうかです。
本来であれば、空き家になった建物からはガスボンベ、メーターの撤去が義務付けられているので、ガス設備は残っていないはずです。何もない場合には、新規でガス会社を選ぶことが可能です。
しかし、購入した中古住宅の建物にガスボンベやガスメーターが残っているケースが多いようです。ガス配管工事費を無償貸与していたガス会社は、契約途中に建物が売却されてしまうと回収できないまま泣き寝入りです。
そこで、次の建物の所有者となる家主に請求することを目的に、ガス設備を置いたままにして契約の連絡を待っています。
次の家主にはガス配管工事費を引き継ぐ義務はありませんから、建物の売買契約書にガス会社の指定がない限り、新たにLPガス会社を探すことをお勧めします。
悪質なガス会社だと知識のない家主に、強気なガス料金を提示し契約を迫ることもあるので気を付けましょう。
中古物件への引っ越しの際、新たなガス会社をお探しであれば専門知識のある当協会へお尋ねください。中古住宅購入にまつわるトラブルに関しての相談もお受けしています。
文字通り、戸建住宅を借りる形になるのでプロパンガス会社は事前に決まっています。大抵、持ち主のオーナーとガス会社の間で給湯器などの設備の無償貸与契約をしています。
こうなると、設備の支払がガス料金に加わっているので単価が割高になっているはずです。ガス単価が地域の適正価格と比較してかなり高いようであれば、契約する前に、オーナーにお願いして「適正価格のガス会社に変更したい」旨の相談をしてみるのもいいでしょう。
しかし、オーナーとの交渉は簡単ではないはずです。無償貸与契約の関係だけでなく、オーナーとガス会社とが親戚であるなど人間関係が絡んでいるとますます複雑です。
借家に関しては、現状調査をした上でないと正しい判断が難しいものです。契約に不安のある方は、協会にご相談ください。適切なアドバイスをさせていただきます。
賃貸アパートやマンションなどの集合住宅において、ガス会社と契約しているのは物件所有者のオーナーですので、入居者がガス会社を決めることはできません。
分譲マンションの場合でも、供給するガス会社が決まっているため、個別にガス会社を乗り換えることはできませんので、覚えておきましょう。
とはいえ、契約時にLPガス料金については調べてみることをお勧めします。基本料金と従量料金を確認した上で、当協会のホームページでそれが適正価格かどうかを調べてみましょう。高いようであれば、価格交渉をすることもできます ※「適正料金早見表2020(アパート入居者用)」参照。
交渉はそう簡単ではないはずです。当協会では、集合住宅での料金交渉ポイントをメールでアドバイスしています。場合によっては、オーナーに対して最適なガス会社への変更の提案をすることも可能です。
『新築住宅』『中古住宅』『借家』と、引っ越し先の住居タイプはざまざまですが、新築、中古の場合に大事なことは、ガス会社を自分で選定するということです。
何かとやることが多い引っ越しの最中、なんだか面倒に感じるでしょう。しかし、プロパンガス(LPガス)は自由料金のため、毎月のガス料金は各社で異なります。
この先何十年も付き合っていくわけですから、引っ越しのタイミングで、安くて信頼できるプロパンガス会社を見つけるのが得策です。
とはいえ、どのようにガス会社を選べばいいのか分からないとお困りでしょう。複数のガス会社に見積もり依頼をしてLPガス会社とコンタクトをとり、説明を受けるのは大きな負担です。
時間がない、不安があるとお困りの方は、プロパンガス料金消費者協会にご相談ください。協会では全国115社(2020年10月現在)の会員ガス会社の中から、相談者の状況に合った最適な優良ガス会社を無料でご紹介します。1件1件の事情をヒアリングした上で、契約に至るまで担当のスタッフが丁寧に対応します。
以上が「引越時LPガス契約手続きのポイント」です。LPガス住宅に引っ越しを目前に控えている方は、まず、速やかに閉栓と開栓の手続きを済ませて、入居日からプロパンガスを使えるようしておきましょう。
LPガスは自由料金ですから、毎月のガス料金が適正価格であることが何よりも大切です。その点を踏まえ、引越時におけるLPガス契約の注意点は、契約のタイミングです。
新築(注文住宅、建売住宅)あるいは、中古住宅購入なのか、借家なのか、賃貸のアパート・マンションなどの集合住宅なのか、住宅のタイプによってLPガスの事情は大きく異なります。
知らないと損をすることも多いのがLPガス。注意点をよく理解して、適切なタイミングでガス会社と契約しましょう。
引っ越しを予定の方は、一度、プロパンガス料金消費者協会にご相談ください。専任のスタッフが現状を伺った上で適切な対処法とガス会社選定のアドバイスをいたします。
(H)