近年注目を集めているオール電化や太陽光発電などエネルギー源のライバルの台頭によって顧客を奪われ、プロパンガス業界は市場の拡大が望めない中、同業者同士による顧客の奪い合いが激化し、アパートの大家さんへのサービス合戦もエスカレートする一方です。
プロパンガス業界は過去40年ほどは無競争時代が続き、「お互いのお客は取らない」というしきたりの中でお互いを護ってきましたが、1997年の液石法改正によって新規参入が許可制から届け出制に大きく変更されたことで異業種からの参入も容易になり、関東を中心に一気に競争時代に突入しました。
このような中、ガス会社が熱心に取り組んだのが大家さんの囲い込みです。わかりやすく言えば、アパートの大家さんに給湯器やエアコンなどを無償貸与するサービス攻勢をしかけて自社の顧客として取り込み、契約によってしばりつけようというものです。
給湯器やエアコンなどの設備は、アパートを建築する時に本来大家さんが負担すべきものです。しかし、アパートの経営面から見ると複数のプロパンガス会社から提案を受けた場合、いろいろと設備を無償貸与してくれるガス会社があるなら、その会社と契約したくなるのも当然ですよね。
ただし、プロパンガス会社としても出血サービスで顧客獲得に成功したら、今度はかかった経費の回収を考えるのも商売する以上やむを得ません。結局、大家さんが得した設備費用分は入居者の毎月の基本料金や従量料金に上乗せされてしまうのです(「基本料金と従量料金」参照)。しかも、10年、15年といった償却期間が終わっても価格が下がることはなく、アパートのプロパンガス料金は高いままにされることがほとんどです。