
都市ガスの料金値上げが止まらない!
都市ガス料金の値上げの動きが止まりません。資源高騰の影響を受けた本格的な値上げや「節ガス」要請が現実味を帯びる中、家計の負担軽減策としてLPガスへの変更もおススメです!

都市ガス料金上限引き上げで家計はどうなる?

日本の消費者物価は31年ぶりの最高値を記録しています。総務省は8月の消費者物価指数が去年の同じ月と比べて2.8%上昇したと発表しました。食品をはじめ都市ガス26.4%、電気21.5%、ガソリン6.9%と生活に欠かせないエネルギー価格が軒並み急騰しています。
都市ガスをみると、東京ガスが2022年7月21日、原料費調整の上限を段階的に引き上げると発表しました。
東京ガスでは原材価格を料金に転嫁する制度を採用しており、料金には消費者負担を軽減するために上限を設けています。
ロシアによるウクライナ侵攻や急激な円安が続くなか、東京ガスはすでに7月時点で上限に到達。超過分は自社で負担しています。今後も原油価格の高騰が長引くことから10月からの上限の引き上げに踏み切ったのです。
これにより都市ガス料金が値上がる可能性は高く、家計にとっては大きな打撃となりそうです。
「原料費調整の上限」を理解しよう
耳慣れない「原料費調整の上限」とは何のことでしょう。今、都市ガス市場がどうなっているのかを知るために調べてみました。
ガス料金の原料費調整
都市ガスの原料である液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)の価格は、為替や原油価格の動きに応じて変動しています。こうした価格の動きに対応するため、原料価格の変動額を速やかに月々のガス料金に反映させる制度です。
【仕組み】
貿易統計に基づく3カ月の平均原料価格と原料価格を比較し、変動分を定められた算定方法によりガス料金を調整。つまり、原料価格の3カ月平均値を、中2カ月の間隔をおいて、次の1カ月分のガス料金に反映することになります。

【ガス料金への反映】
毎月の単位料金は、あらかじめ定めた基準単位料金に、原料費調整による調整額をプラスまたはマイナスして算定します。

【原料費調整額の策定方法】
①平均原料価格を算定
LNGとLPGの平均原料価格を算定
平均原料価格=LNG平均価格(円/トン)×0.9479+ LPG平均価格(円/トン)×0.0546
②平均原料価格の変動額を算定
平均原料価格と基準となる原料価格(基準平均原料価格)との変動額を算定
平均原料価格(円/トン) - 基準平均原料価格(57,250円/トン)
平均原料価格が基準原料価格を上回る場合はプラス調整を、下回る場合はマイナス調整を行います。料金の大幅な変動を避けるために原料価格調整には上限を設定しています。
③調整額を算定
原料価格の変動額100円につき単位料金を1m3あたり0.081円調整
0.081×②の原料価格変動額/100×0.0891
④単位料金へ反映
毎月の単位料金は、基準単位料金に調整額をプラスまたはマイナスして算定
基準単位料金±③の調整額
厳密に言うと、原料費調整の上限とは、上記②の平均原料価格(基準平均原料価格)に設けられている調整額の上限だとわかりました。
原油価格の高騰が続くなか、平均原料価格が上がっていくとなると家庭のガス料金に直接影響する範囲が広がるということです。
10月から上限額はどう変わる?
東京ガスは原料費調整の上限を10月から来年3月まで段階的に引き上げるとしています。東京地区で8月の91,600円/トンから156,200円/トンに変更。群馬地区でも43,760円/トンから74,730/トンに変更になります。
●各検針月の調整上限
円/平均減量価格1トン
検針月 | 東京地区等 | 群馬地区・群馬南地区 |
---|---|---|
2022年10月 | 102,360円/トン | 48,920円/トン |
2022年11月 | 113,120円/トン | 54,080円/トン |
2022年12月 | 123,880円/トン | 59,240円/トン |
2023年1月 | 134,640円/トン | 64,400円/トン |
2023年2月 | 145,400円/トン | 69,560円/トン |
2023年3月以降 | 156,200円/トン | 74,730円/トン |
※群馬地区、群馬南地区は国産天然ガスの使用比率が高いため原料費が元々安いため東京地区等と設定が異なる。
これにより、東京地区で使用量が30m3の標準的な家庭のガス料金は、現行6,175円から来年3月には1,438円の値上がりとなり、7,613円になります。
基本料金が1,056円として平均原料価格が上限を超え続けた場合、1m3あたり171円だったガス料金が半年後には219円に上がる計算です。
家計へのダメージは結構大きいのではないでしょうか。今後の都市ガス料金に目が離せません。
電力に続いて「節ガス」検討が始まる

続いて、都市ガスに関する気になるニュースをご紹介します。政府による「節ガス」の検討が本格的に始まっています。
「節ガス」とは、ガスを無駄使いしないよう消費量を切り詰める『ガスの節約』のことで、需要が高まる冬場を見据えて都市ガスがひっ迫した場合に備えようというものです。
日本企業が出資するロシア極東の石油・天然ガス開発事業「サハリン2」について、プーチン大統領が国内企業に運営を移管させる大統領令を出しました。ロシアから揺さぶりを受け、LNG輸入が滞る懸念が急激に高まったことが背景にあります。
そこで政府は、都市ガスの供給で十分な量を確保できない場合、「節ガス」を要請。それでもガス不足に陥った場合は、大口使用の企業を対象に使用制限令を出せるようにする考えです。
今まで一度もなかった「節ガス」。今やらないとエネルギー危機を乗り切れないという政府の切迫感の表れです。消費者としては『そこまできているのか』と不安を感じます。
すべてはロシア次第という状況のなか、最悪を想定して備えるしかない日本。「節電」「節ガス」と厳しい冬を迎えることになりそうです。
プロパンガスは「節ガス」知らず。メリットも!?
ガス不足と聞くとプロパンガス利用者も気になるところです。しかし、今回の「節ガス」はあくまで都市ガスが対象でプロパンガスは含まれていません。
日本は天然ガス輸入量の10%弱をロシアに依存しているため、輸入が途絶えればガス不足に陥ることが危惧されている状況ですが、プロパンガスの原料である液化石油ガス(LPG)は以下の表のとおり、ロシアに依存していない状況です。
液化石油ガスの輸入相手国比率
輸入相手国 | 割合 |
---|---|
アメリカ | 66.7% |
中東 | 10.4% |
オーストラリア | 8.4% |
カナダ | 12.7% |
その他 | 1.9% |
※出展元:日本LPガス協会
世界の資源供給が不安定なためリスクが無いと言えませんが、プロパンガス不足の懸念は低いとみていいでしょう。ただし、仕入れ値の高騰、円安の影響が原因でプロパンガス料金は値上りしているので、今後もチェックしていく必要があります。
ところで、プロパンガスはガス会社によって料金が異なることをご存知ですか? プロパンガスは賢く使わないと損をする可能性が高いです。
では、損を回避する策についてご紹介します。
家計節約したいなら、ガス会社変更がおススメ!

戸建(持ち家)にお住まいの方は、ガス会社を変更することで料金を大幅に引き下げられます。場合によっては、約30%ダウンできる可能性もあります。ぜひ検討してみましょう。
都市ガスとプロパンガス料金比較
「プロパンガスは都市ガスより高い」。これが通念ですが、都市ガス料金の値上がりが続くなか、都市ガスとプロパンガス料金との差はなくなってきています。
それどころか逆に適正価格でプロパンガスが使えれば、都市ガスよりも安くなる可能性が高くなってきています。
「実際に、東京地区の都市ガスとプロパンガス料金を比べてみました。プロパンガスの熱量は都市ガスの2.23倍なので都市ガス料金はプロパン換算(都市ガス料金×2.23)して適正価格のプロパンガス料金と比較します。
●都市ガスとプロパンガス料金比較(2022年10月)
(価格は税込)
都市ガス ※1 | プロパンガス | |
---|---|---|
基本料金 | 1,056円 | 1,650円 |
従量料金 | 381円 ※2 | 330円 |
30m3使用時の合計 | 12,486円 | 11,550円 |
※1:東京ガス一般料金表の2022年10月検針分「B」を採用
※2:プロパンガスの熱量は都市ガス比2.23倍のためプロパン換算(×2.23)
●都市ガスとプロパンガス料金比較(2023年3月)
(価格は税込)
都市ガス ※1 | プロパンガス | |
---|---|---|
基本料金 | 1,056円 | 1,650円 |
従量料金 | 488円 ※2 | 330円 |
30m3使用時の合計 | 15,696円 | 11,550円 |
※1:都市ガスの従量単価が219円まで上がった場合
※2:プロパンガスの熱量は都市ガス比2.23倍のためプロパン換算(×2.23)
30m3使用時の場合、10月でプロパンガスが936円安く、来年3月には4,146円安くなる計算です。過去ここまで差が付いたことはありません。これをご覧になって、プロパンガスへの燃料転換を検討したいという方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ただし、適正価格のプロパンガス会社と契約する必要があります。どうすればいいのでしょうか。
<関連記事>:プロパンガスと都市ガスの料金比較
適正価格のガス会社を選ぶことが重要

プロパンガス料金消費者協会は適正価格のプロパンガス会社を紹介しています。プロパンガスの適正価格とは、協会が独自で策定した価格です(都市ガスの2.23倍を基準に設定)。
会員ガス会社の自助努力もあり、設立当初から適正価格での供給を安定的に続けています。
適正価格は平均価格(相場)と比較して平均30%安くなるのが特徴です。例えば、プロパンガス料金が1万円の家庭であれば、月々3,000円の節約、年間4万円近く安くなる計算です。
<関連記事>:適正料金早見表 2025(一戸建)
すぐ適正価格のガス会社に変更したい!という方は協会までお問い合わせください。
安心のガス料金見守り保証
「契約後の勝手な値上げがあったら困る...」と心配になる方もいます。
でもご安心ください。協会には料金値上げに関する保証制度「ガス料金見守り保証」が付いています。
これは協会が紹介した会員ガス会社が、万一不透明な値上げを行った場合、事実確認をした上で協会が元の料金に戻すよう責任をもって交渉する制度です。
そもそも協会の会員ガス会社は勝手な値上げをしないことを誓約していますが、この保証があれば消費者としては心強いはずです。
<関連記事>:ガス料金見守り保証
簡単手続き!手数料も一切無料
会員ガス会社は全国に130社(沖縄を除く)、支店・営業所数でみれば1,450カ所以上存在します(2022年10月現在)。
協会はこの会員ガス会社からの会費で運営しています。これにより消費者は手数料・相談料が一切かからずサービスを利用することができます。
手続きは簡単です。新しいプロパンガス会社が決まり契約が完了すれば、新ガス会社が主導でガスボンベの撤去作業を行います。
<関連記事>:プロパンガス会社変更の4つの手順とトラブル回避策
すべての作業が完了するまで協会の担当スタッフ1件1件丁寧に対応します。13年の実績とノウハウがあるのでトラブルがなくて安心です。
今のプロパンガス料金が高いという方は、ぜひ、プロパンガス料金消費者協会に相談してガス会社変更することをおススメします!

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都市ガスの料金値上げが止まらない!まとめ
都市ガス料金上限引き上げで家計はどうなる?
東京ガスは2022年7月21日、原料費調整の上限を段階的に引き上げると発表しました。これにより、家計のガス料金が値上がる可能性がありそうです。詳細はこちら。
「原料費調整の上限」って何?
原料費調整の上限とは、原料価格(基準平均原料価格)に設けられている調整額の上限のことです。基準原料価格を上回る場合はプラス調整が、下回る場合はマイナス調整が行われます。詳細はこちら。
10月から上限額はどう変わるの?
東京地区で使用量が30m3の標準家庭のガス料金は現行6,175円から来年3月には1,438円値上がり7,613円になる計算です。詳細はこちら。
今後、都市ガス料金よりもプロパンガス料金の方が安くなるの?
都市ガス料金の値上がりが続くなか、適正価格でプロパンガスが使えれば、都市ガスよりも安くなる可能性が高くなってきています。詳細はこちら。
適正価格のガス会社を探すには?
プロパンガス料金消費者協会の適正価格は平均価格と比較して平均30%安くなるのが特徴です。すぐ適正価格のガス会社に変更したい!という方は協会までお問い合わせください。詳細はこちら。

プロパンガス料金消費者協会
- ・1950年
- 群馬県伊勢崎市生まれ。
- ・1980年
- ソード株式会社(後の東芝パソコンシステム株式会社)に入社。
- ・2010年
- 一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会を設立して理事に就任。
- ・2011年
- 同代表理事に就任。現在に至る。
- ・2023年
- BSテレビ東京「マネーのまなび」で、不透明なプロパンガスの料金について取材を受け、番組内で解説。
設立当時、プロパンガスは都市ガスに比べて約1.8倍も高い状況にも関わらず、消費者が相談できる団体は皆無であった。そこで、鈴木は消費者の立場に立って、不透明なガス代について料金面から取り組む団体として協会を設立した。
それまで存在しなかったプロパンガス料金の“適正価格”の設定に奔走。大手供給業者の賛同を得て、設立10年足らずで”適正価格“を共通言語として全国展開を達成し、130社以上のプロパンガス会社とパートナー契約している。
現在はプロパンガスの”適正価格“の指標になる「CP速報」を毎月執筆し、ガス料金の適正価格での供給に貢献している。
プロパンガス料金消費者協会からのお知らせ
ガス料金削減コンサルタント、Webデザイナー・コーダー募集中!
一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会では、当協会の活動に必要なスタッフを募集しています。
詳細はこちらのURLをご覧ください。
https://www.propane-npo.com/recruit/