
電気とプロパンガスのコスト比較
電気とプロパンガス、家庭のエネルギーとして使うならどちらがお得?給湯器の費用、カロリー比較など、幅広い視点で比べてみます。電気とガスの違いを理解して、ご家庭に合ったエネルギーを選択しましょう
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電気とプロパンガスどちらを選ぶべき?

家庭で使用するエネルギーといえば、電気、ガス(都市ガス、LPガス)、灯油などがあります。
どれも生活に欠かせないものですが、2016年の「電力小売全面自由化」、2017年の「都市ガス小売全面自由化」によって、消費者が契約先事業者の切り替え(スイッチング)をすることが定着してきました。
このことにより、消費者にとっては販売事業者や料金メニューを自由に選べる一方で、複雑化するプランを正しく把握し、賢い選択をすることがますます重要になってきています。
本記事を参考に、電気とガスの違いを理解してみてください。
家庭のエネルギー消費は給湯が多い
家庭におけるエネルギー消費量を用途別に、冷房、暖房、給湯、厨房、動力・照明他(家電機器の使用等)の5つに分類し、そのシェアを示した調査結果があります。
その内訳を見ると、比率が高い項目は、給湯28.4%、暖房25.4%、動力・照明他33.8%となっています。省エネというと家電の節電がよく知られていますが、家庭のエネルギー消費は給湯が大きな割合を占めていることが分かります。
参照:資源エネルギー庁「令和元年度エネルギーに関する年次報告」(エネルギー白書2020)
日本人はお風呂に入る習慣があるからでしょうか。エネルギーコストの削減を考えるなら、給湯器の使い方や選び方を工夫することがポイントになりそうです。
電気給湯器の特徴
電気給湯器は、電熱ヒーターでお湯をつくる「電気温水器」と、大気中の熱を使ってヒートポンプでお湯をつくる「エコキュート」に分類できます。
電気給湯器は火を使わないので火災の心配が少ない、排気がなく空気を汚さないのが特徴として挙げられます。
一方、お湯を貯めるタンクがある分、ガス給湯器に比べて大きい設置スペースが必要です。
また、お湯を使いすぎるとタンクのお湯がなくなる「湯切れ」の状態になってしまいます。そうなると、お湯が沸くまでに時間がかかってしまいます。
さらに、タンク内に貯められているお湯は飲用に適していない点もデメリットになります。
電気給湯器を選ぶなら、環境の面でも家計を考えてもエコキュートが高効率です。
ガス給湯器の特徴
ガス給湯器は、水道の蛇口をひねると瞬間でバーナーに着火します。熱交換器で水を加熱する仕組みなので、電気給湯器のような湯切れは起こらず必要なときに必要なだけお湯を沸かせます。
また電気給湯器に比べてコンパクトサイズで設置費用も割安というメリットがあります。
デメリットは、プロパンガス利用の場合、配送や管理にコストがかかるためガス料金は割高です。
ガス給湯器は、従来型の「ガス給湯器」に比べ省エネを実現した「エコジョーズ」の普及が年々拡大しています。
エコジョーズは、これまで空気中に捨てていた排気熱を再利用することで、少ないガス量で効率的な給湯ができるのが特徴です。
従来型ガス給湯器は給湯熱効率が約80%なのに対し、エコジョーズは約95%まで向上しているので、大幅なガス代節約ができてお得です。
電気とプロパンガスの給湯器コストは?
やはり給湯器で気になるのはコストだと思います。そこで、「電気のエコキュート」と「プロパンガスのエコジョーズ」を比べてみます。
下記本体価格は定価ではなく、値引きも加味した小売価格の目安と考えてみてください。
給湯器 | 小売価格 |
---|---|
エコキュート(本体価格と設置工事費込み) | 45万~60万円程度 |
エコジョーズ(本体価格と設置工事費込み) | 15万~35万円程度 |
メーカーごとの機能の有無により本体価格は変動しますが、従来かなり高かったエコキュートの価格も、最近は値下がりの傾向にあって、初期費用の差は縮小しています。
とはいえ本体価格、設置工事費とも、エコキュートよりもエコジョーズの方が割安です。さらに、エコキュートはタンクの容量が大きくなればなるほど設置工事費がかさみます。
また住まいの環境によっては200V電力配線や基礎工事も必要になる場合があります。初期費用を安く済ませたいという方にはプロパンガスのエコジョーズがおすすめです。
一方、ランニングコストの面ではエコキュートの方がエコジョーズよりも安く済みます。
エコキュートは、割安な深夜の電力を使用すると年間に掛かる電気料金は約4万~6万円。
エコジョーズは、高効率でお湯を沸かすことができますが、都市ガス料金プランは約5万~10万円。プロパンガスの場合はさらにガス代が割高になります。
長期的に考えるとエコキュートと比べて、エコジョーズはかなりガス代が割高になりそうです。
電気とプロパンガスのカロリー比較

続いて、単位が異なる電気とプロパンガスをカロリー(熱量)に変換して比較してみます。熱量にはkcal(キロカロリー)という単位が使われます。
重さ1㎏の水の温度を1℃温めるのに必要な熱量が1kcalです。
電気1kWhあたりの熱量が860Kcalなのに対し、プロパンガス1m3あたりの熱量は24,000 Kcalです。
エネルギー | 単位 | カロリー(熱量) |
---|---|---|
電気 | 1kWh | 860Kcal |
プロパンガス | 1m3 | 24,000kcal |
→ プロパンガスのカロリーは電気の28倍 |
※m3(リューベまたは立方メートル):プロパンガスの体積をあらわす単位
簡単にいうとプロパンガスのカロリーは電気の28倍ということになります。
電気とプロパンガス、お湯1リットル沸かすコストはいくら?
電気とガスの熱量差がわかったところで、次に1リットルの水を100℃まで沸騰させるコストはどちらが安いのかを計算し、単純比較してみます。
電気代とガス代を比較するには、一定条件を基準に比較する必要があります。
まず、電気についてはオール電化住宅向けに、夜間の割引料金を適用したプランもありますが、ここでは、電力小売が自由化される前から契約者が最も多い東京電力の料金プラン「従量電灯B」で算出してみます。
プロパンガスについては、販売店によって料金プランが異なる自由料金である上に、プランの種類が多くて複雑です。ここでは、「エネ研・石油情報センター」が公表する東京都の「平均価格」(2021年6月現在)で計算します。
【設定条件】
- 水道水の平均水温:17℃ ※1
- 水温17℃の水を100℃まで上げるのに必要な熱量:83Kcal
- 単価:電気19.88円 ※2 /プロパンガス515円 ※3
- 熱量:電気1kWh = 860Kcal /プロパンガス1m3 = 24,000kcal
- ガスコンロの平均熱効率:50% ※4
※2:東京電力 規制料金のプラン「従量電灯B」
※3:エネ研・石油情報センター「平均価格」(2021年6月現在)
※4:機種によって異なるため
1リットルの水を1℃上げるのに必要な熱量は1kcalなので、17℃の水を100℃まで上げるのに必要な熱量は100-17℃=83 kcalになります。
【電気でお湯1リットル沸かす場合】
- 必要な電力量
必要な熱量83Kcal÷電気発熱量860Kcal=0.09651kWh
- お湯1リットルを沸かす電気代
電気単価19.88円×必要な電力量0.09651kWh=約1.9円
【プロパンガス「平均価格」でお湯1リットル沸かす場合】
- 必要なガス量
必要な熱量83Kcal÷プロパンガス発熱量24,000 Kcal=0.003458m3
ただし実際に必要なガス量は、周囲に逃げる放出熱により平均50%しかガスを有効利用できないため
ガス量÷効率(50%)=0.003458m3÷0.5=0.0069m3
- お湯1リットルを沸かすプロパンガス代「平均価格」
ガス単価「平均価格」515円×実際に必要なプロパンガス量0.0069m3=約3.6円
エネルギー | 料金 |
---|---|
電気 | 1.9円 |
プロパンガス「平均価格」 | 3.6円 |
1リットルの水17℃を100℃まで沸騰させるのにかかるコストは、電気に比べてプロパンガス「平均価格」が約1.7円高いということがわかりました。
同じ量のお湯を沸かすのに、電気よりプロパンガスの方が約1.9倍の料金がかかるということになります。予想通りになったでしょうか。
電気とプロパンガス「適正価格」のコスト比較

ここまでは、東京電力の「従量電灯B」料金とプロパンガスの「平均価格(515円)」で比較しました。
では、プロパンガスの単価を「プロパンガス料金消費者協会」が設定する東京都の1m3あたりの「適正価格(308円)」にするとどう変わるのか、比べてみたいと思います。
【プロパンガス「適正価格」でお湯1リットル沸かす場合】
- 必要なガス量
必要な熱量83Kcal÷プロパンガス発熱量24,000 Kcal=0.003458m3
ただし実際に必要なガス量は、周囲に逃げる放出熱により平均50%しかガスを有効利用できないため
ガス量÷効率(50%)=0.003458m3÷0.5=0.0069m3
- お湯1リットルを沸かすプロパンガス代「適正価格」
ガス単価「適正価格」308円×実際に必要なプロパンガス量0.0069m3=約2.1円
エネルギー | 料金 |
---|---|
電気 | 1.9円 |
プロパンガス「適正価格」 | 2.1円 |
1リットルの水17℃を100℃まで沸騰させるのにかかるコストは、電気が1.9円に対し、プロパンガス「適正価格」は2.1円と電気料金の約1.1倍に収まっています。
プロパンガス「平均価格」のときに3.6円であるのに対して、「適正価格」にすると2.1円となり、同じプロパンガスでも東京都の場合、約40%ガス代を削減できる計算になります。
ここで注目したいのは、プロパンガスは「平均価格」と「適正価格」に大きな差があるという点です。
エネ研・石油情報センターが発表する「平均価格」は、一般に販売されている割高なガス料金の平均値です。
それに対して「プロパンガス料金消費者協会」が設定する「適正価格」は、都市ガス料金の1.2倍を基準にしており、「適正価格」のプロパンガス会社を利用すれば、平均30%のガス代削減が期待できます。
環境にやさしく、災害に強いにもかかわらず、オール電化と比較して割高料金で敬遠されるプロパンガスですが、適正価格で使うことができればプラス面が各段に上がります。
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オール電化とガスはどちらがおススメ?施工業者の本音

一戸建て住宅を新築するならオール電化?それともガス?家庭に合ったエネルギーを選びたいですね。そこで頼りになるのがハウスメーカーや工務店だと思います。
例えば、「ガスとオール電化の併用をした方がお得になる」「家族に高齢者がいるなら安全性の高いオール電化が使いやすい」など、単に費用面だけではなく総合的に判断して、それぞれの家庭に最適な提案をしてほしいものです。
オール電化住宅は、電気工事業者に一切を任せることができるため工期が短くて済みます。施工業者からするとそれだけでもメリットのようですが、住宅建設に詳しい方の情報によると、多くのハウスメーカーや工務店は自社の利益で判断するというから驚きです。
オール電化住宅を受注すると電力会社から紹介料を受け取るといいます。また、給湯器のエコキュートを販売するとプロパンガスと比べて桁違いの利益になるそうです。
仮に定価80万円のエコキュートを40%で仕入れ(32万円)、30%OFFの56万円で販売すれば24万円の利益。値引き率を下げればもっと儲けが出るのです。
宣伝広告によるイメージからも、空気を汚さず安全でスマートなオール電化は魅力的ですが、知識の無い一般の方には高額の見積もりを出してくる事業者がいるのも実情です。
賢い選択をするためには事前の情報収集はもちろんのこと、事業者選びも重要なポイントといえそうです。
オール電化とプロパンガスの比較記事はこちらにあります。
<参考ページ>:新築住宅でオール電化orプロパンガス選ぶべきは?
プロパンガスをお得に使いたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
<参考ページ>:ガス会社の変更でガス代30%削減!

プロパンガス料金消費者協会
- ・1950年
- 群馬県伊勢崎市生まれ。
- ・1980年
- ソード株式会社(後の東芝パソコンシステム株式会社)に入社。
- ・2010年
- 一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会を設立して理事に就任。
- ・2011年
- 同代表理事に就任。現在に至る。
- ・2023年
- BSテレビ東京「マネーのまなび」で、不透明なプロパンガスの料金について取材を受け、番組内で解説。
設立当時、プロパンガスは都市ガスに比べて約1.8倍も高い状況にも関わらず、消費者が相談できる団体は皆無であった。そこで、鈴木は消費者の立場に立って、不透明なガス代について料金面から取り組む団体として協会を設立した。
それまで存在しなかったプロパンガス料金の“適正価格”の設定に奔走。大手供給業者の賛同を得て、設立10年足らずで”適正価格“を共通言語として全国展開を達成し、130社以上のプロパンガス会社とパートナー契約している。
現在はプロパンガスの”適正価格“の指標になる「CP速報」を毎月執筆し、ガス料金の適正価格での供給に貢献している。
ガス代最大50%安く!

プロパンガス料金消費者協会からのお知らせ
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一般社団法人 プロパンガス料金消費者協会では、当協会の活動に必要なスタッフを募集しています。
詳細はこちらのURLをご覧ください。
https://www.propane-npo.com/recruit/